筆者は北京で旅行を学ぶ大学院生。妻は中国人。明るい話題の少ない日中関係ですが、将来に向けて建設的な提案を行なっていけたらと思ってます。末永くよろしくです。
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千里走単騎

『千里走単騎』は、中国が誇る映画監督張芸謀の新作です。
高倉健が雲南省までやって来て、主役を演じてます。
日本名は調べてないけどストレートに「単騎千里を走る」とかなのかな?

妻と一緒にDVDで見ました。海賊版で5元(=約70円)。
まだ見てない人のために、興味を失わせない範囲であらましを…

高倉健演じる高田父は、数年来息子とうまくいってない。
ある日息子の嫁から電話があり、息子がもう長くないことを知る。
そこで、わだかまりを解こうと息子に会いに行くのだが、面会を拒絶されてしまう。
嫁を通して息子が雲南省の劇を研究していた事を知った高田父は、
単身中国に乗り込み、雲南省麗江へ旅をする。
そこで…

といった感じです。台詞のほとんどは高倉健がしゃべっているし、他の人の台詞にも翻訳がついているので、中国語の勉強にしたい人には期待外れかも。
でも最近のハリウッドもどきの張芸謀作品より、昔の素朴な作品が好きだった人にはいいかも。

高倉健と息子夫婦を除く中国人の役者は、全て雲南省の現地の人です。僕の中の張芸謀代表作「一个也不能少(邦題:あの子を探して)」もそうですが、素人役者を使わせたら彼の右に出る者はいないでしょう。今回も案内役の邱林(チウリン)と孤児の杨杨(ヤンヤン)の演技はとても自然です。

高倉健が杨杨を追いかけるシーンで、ぐっときてしまいました。なぜって、それは内緒ですが…。

さて、見終わって妻が一言。
つまりは「雲南ひいては中国の観光PR」と、「最近日本と中国仲悪いから仲良くしましょう」ということね。と。
んー、まあそう言っちゃー身も蓋もないんですが、一理あるかも。

とりあえず、まだの方、ご覧あれ。
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# by t-kume | 2006-01-16 15:49 | 日記・随筆

<アンケート>外国人に紹介したい日本

僕は現在中国で旅行学を勉強中です。

…ということで、唐突ですが
外国人(特にアジアからのお客さん)に紹介したい日本
を募集してます。


自然

町並み

文化遺産

テーマパーク

食べ物・飲み物

レクリエーション

伝統工芸

おみやげ

サブカルチャー

その他

など、何でも歓迎です。回答は匿名で構いません。伝統的な日本にとらわれずに、最新の流行なんかでも可。上の項目について全部書けという意味ではなくて、あくまでも参考です。
ちなみに、学問的統計を取ってるわけではありませんので、あまり真剣にならずに、気軽にどうぞ。
アホなコメント、茶化しコメントも歓迎です。いいアイデアはそういうところから生まれるので。
あ、でもできるだけ具体的にお願いします。例えば寺社仏閣なら、どこどこの何々寺といった具合に。

また、ここで得られた結果は個人的に傾向を把握させていただくためだけに使用し、無断で営利目的に転用する事は一切ありません。

では、どうぞ!!
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# by t-kume | 2006-01-07 13:55

中国語のクラスにて

僕は大学院生なのですが、英語の授業を中国語に振り替えてもいいという事なので、いろいろな国から来た学生と一緒に中国語の授業も受けてます。その授業中のお話。

教科書を勉強し終わって、何もすることがないので、興味のある事について討論という事になった。すると西アフリカのシエラレオネから来たマルクス君が、
「老师,对历史遗留下来的问题你怎么看?(先生、歴史的な問題についてどう思いますか?)」と…。
先生の顔に緊張が走ったのが目に見えて分かった。同時に日本人と韓国人の学生も消火体制に入る。毎日顔を合わせる仲なのだ。波風を立てずにこの場を乗り切りたい思いは一致している。先生が消火器を発射する。若い人たちには関係ないという論法だ。

ところが、マルクス君の言いたい事は、東アジアの歴史のことではなかったらしい。ヨーロッパのアフリカ植民地化の話だという。
彼は自分が黒人である事で、随分興味本位の目で見られるという。道を歩いていても「黒人や、黒人おるで」と指を指されて疲れるという。「黒人(heiren)」という単語を聞くたびに、差別的な意味合いを感じるという。テレビに出てくる黒人は決まって悪役で(中国にはボビーオロゴンみたいな存在がいない)、見ていて悲しくなるという。「同じ人間なのになぜ?」「貧しいのは歴史のせいで、俺のせいじゃない」「中国では人種差別が助長されてる」と訴えていた。
僕も言いたいことがあったので、続いて発言した。昔S省で働いていた時、同僚の中国人やカナダ人の先生と一緒にレストランに行った。隣の席にいた7,8歳の男の子が、カナダ人の先生に興味を持って話しかけてきた。中国人の先生が「このお兄ちゃんも外国人なんだよ。日本人だよ」と僕を紹介した。子供の反応はストレートだ。「嘘だ。日本人ならちょび髭があるはずだ」と。中国の日中戦争系時代劇では、日本人は必ずちょび髭を生やしている。この子が日本にどういうイメージを持ってるかは聞かなくても分かったし、案の定、最後まで僕にはなじまなかった。僕も「日本(riben)」という単語を聞くたびに、憎悪と蔑視の混じったような感じを受ける事、戦争物の番組を見るたびに胸糞が悪くなる事などを話した。
続いて韓国の学生がフォローとまとめに入ってくれた。自分は韓国の田舎の出身で、中国に来るまで外国人と交流した事はなかった。当然日本に対していいイメージは持ってなかったし、アフリカの事なんて何も知らなかった。中国に来てしばらくして、中国人と日本人の学生と交流する機会があった。その場である中国人が、その場に一人しかいなかった日本人に、「歴史」についての考えを問いただした。その日本人はこう言ったのだそうだ。「虽然我不能代表日本,但是我觉得当时的日本不对,很抱歉(僕は日本を代表する事などできないけれど、当時の日本は悪いと思う。ごめんなさい)」。彼女は胸に手を当てて考えたという。自分はこの日本人に恨みなどないのに、どうしてこうやって虐めているんだろうと。その後多くの日本の友達を持って、日本に対する偏見も消えたという。またユーモアのあるマルクス君のおかげで、自分の黒人に対する印象はすごくいいのだと。

留学ってこれだから面白い。久しぶりに濃密な時間を過ごす事ができました。

おまけ:
ぶっちゃけモードになったついでに、昼飯時にペルー出身の華僑の女の子に「フジモリをどう思う?」と聞いてみた。彼女は「自分に似ているから好きだ」と。理想に一直線で何事も自分で決めるスタンスが自分に似ているんだそうな。独裁なくして南米で大統領などありえない、フジモリは国民のためになる事をしたというのが彼女の意見でした。
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# by t-kume | 2005-12-27 21:27 | 日記・随筆

中国人の日本留学3:ニセモノ書類、裏技編

さて、予告していた究極のニセモノ作りです。
5.戸籍簿
戸籍簿のニセモノ、要はニセの人間を作ってしまおうというものです。作り方はいたって簡単で、戸籍を発行している地方政府や派出所を買収してしまうだけ。保護者のニセモノと本人のニセモノと二つあるのですが、順に解説していきます。

5-1.保護者の戸籍簿
保護者の収入が規定に満たない場合、前回特集した方法で通帳などを作る事ができるのですが、もっと手っ取り早く、保護者を取り替えてしまうという方法もあります。
例えば、留学を希望する学生「張君」と「李君」がいたとします。張君のお母さんはお金持ちですが、李君の家はお金がありません。この場合、会社は張君の留学書類を準備する際、張君のお母さんに関する書類一式を余分にコピーしておきます。その後、李君の戸籍簿を改ざんし、張君のお母さんを李君のお母さんに仕立て上げてしまうのです。中国は夫婦別姓ですから、お母さん関係の書類なら名字を気にする必要はありません。
こうすれば、ワンセットの書類で、二人分の経費支弁能力を証明する事ができます。もちろん、同じ入管に張君と李君の書類を提出するのは怖いので、張君が東京なら李君は大阪といった具合に分けて出す必要があるのですが。

5-2.本人の戸籍簿
作り方は保護者の場合と同じで、留学生を名前から偽造するものです。そして、僕が一番話したいのはこの問題についてです。
だらだらと述べてきたように、どんな書類でもニセモノを作る事は可能です。ではなぜ名前から偽造する必要があるのでしょうか。どんな人でも自分が20年来使ってきた名前に愛着はあるはず。学校会社で使う名前と、家庭に帰って使う名前を一生区別しなければならないのは、面倒くさいし苦しいはず。では、なぜ??答えは↓です。
(1)ビザ発給の際の出身地差別
ご存知の通り、日本では在日外国人の犯罪多発が問題になってます。そして中国人に関して言えば、問題を起こす率が高く、不法滞在率も高いのは圧倒的に福建省出身者。というわけで、入管は福建省出身のビザ申請者に対して、ものすごく神経を尖らせてるようです。具体的な数字は知りませんが、福建出身者に渡航が認められる可能性は非常に低い。そこで、戸籍ごと変えてしまって渡航を試みようとする人が出てくるわけです。うちの会社ではこういった顧客に対して、通常の5倍程度の仲介手数料を取って書類を作ってました。
僕はこういう学生にも日本語を教えていました。一人でも真面目な学生に出会えていれば、僕の見方も少しは変わったかもしれないんだが、残念な事にいい学生には一人もめぐり会えませんでした。同郷者を頼っていわくありげな仕事をしようとする目的の人ばかり。実際そのうちの二人は日本到着後に失踪したし…。一人の学生は授業中僕に「先生、一緒に偽装結婚の会社を立ち上げよう。報酬は山分けでいいから」とな。僕も甘く見られたもんだな。
というわけで、福建出身者へのビザ不交付に関して、僕は“現時点で”一抹の同情も感じません。
(2)ビザ不交付履歴者
日本には(どこの国もか…)、ビザを不交付にした人物のブラックリストが存在します。不交付理由などについても詳しく履歴が取ってあり、次回以降申請の際は厳しい審査が待っています。が、厳しすぎ。日本留学を希望する学生の間では「日本留学は一回勝負。一回拒否されたら挽回は不可能」が常識になってます。実際不可能ではないのですが、非常に難しい事は確かです。そして、これが学生をニセモノ作りに走らせる温床になっている。
英語圏への留学ならば、こんな面倒くさい事はしなくていいんです。イギリスがだめならカナダへ、カナダもだめならオーストラリア・ニュージーランドへと、国を替えて申請すればいい(中国からアメリカへの一般人の留学は、ほぼ不可能です)。でも、日本語を勉強する学生にとって、日本がだめなら次善の選択は存在しない。日本へ行けなければ、勉強してきた事は全て無駄になる。そこで、「ブラックリストに載っていない名前で」と考える学生が出てくるわけです。
僕の会社では、外部の学生は5倍程度の仲介料で、内部でビザ不交付を受けた学生には割引料金で、戸籍簿偽造を請け負ってました。偽造を手がける部長さんもお好きな方でしたので、肉体労働でお支払いになった学生さんもいらっしゃいましたが…。憂鬱。
閑話休題。留学を考える学生は、高校卒業後、大学に入る前である事が多いです。この時期の学生にとって再申請は時間的リスクが大きい。大学卒業生と違って「仕事をしながら申請」ということもできないし、半年も一年もだらだら待つわけにいかない。日本に行けないなら行けないで、中国の大学に入る準備をしなければならない。再申請したところで、留学が認められる可能性は非常に少ない。となると、名前を変えて…というのも納得がいく。
これに関しては、入管の制度不良だと思ってます。再審査を厳しくする事で、学生をニセモノ作りに追い込んでる。また、ニセモノ作りに追い込む事で、悪徳仲介起業を太らせてる。経験論から言うと、名前を変えずに再申請をしたいという学生は、まともな人間が多い。また、再申請に耐えうる書類というのは、ホンモノである場合が多い。審査方法の改良を切に切に希望してます。
(3)研修生
前々回も書きましたが、日本では三年以内の制限つきで単純作業労働者を外国から受け入れる「研修生」という制度があります。そして、この期間を終えて引き続き日本の大学で勉強したいという研修生も多いのだが、おかしな事にこういう学生にはほとんどビザが下りない。不思議で不思議でたまらない。理由を知ってる人、教えてください。
研修生に関しては、他に色々書きたいこともあるので、今後特集の形にしたいと思います。

最後まで読んでくれた皆様、ありがとうございました。書類のニセモノ作りについては、今回で最後です。
次回以降は、入管の日本国内の日本語学校管理と、留学政策について触れ、提言をしていきたいと思います。政策決定に携われる人が誰も見てないのが本当に残念ですが…。
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# by t-kume | 2005-12-18 19:42 | 中国人の日本留学

中国人の日本語作文コンクール

今日の午後、「第一回 中国人の日本語作文コンクール」の表彰式に参加してきました。blogを通して知り合った在日華僑の段躍中様に「表彰式に列席したい」旨を伝えたところ、快諾してくださり、全くの部外者ながら隅っこの方に座らせてもらったわけです。
このコンクールに関する記事は、以下で見ることができます。
http://duan.exblog.jp/i3

また、受賞作品を収めた本をいただきました。内容を紹介すると著作権に触れてしまうので、以下に書名を紹介しておきます。中国人の中でも日本人をよく知る彼らの、生の声が聞けるいい本だと思います。ぜひお手元に一冊!
『日中友好への提言2005 -第一回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集-』
段躍中編 日本僑報社

まだ、全部は読み終わっていないのですが、かなりレベル高いです。とても日本語を始めて数年の学生の作品とは思えない。しかも式中、優勝者の日本語でのスピーチが素晴らしかった。
日中関係が冷え込んでるせいもあるんでしょうが、全体的に見て「日中関係」を憂慮する作品が多かった。そして、両国が仲良くできない事に対する「寂しさ」が伝わってくる。この「寂しさ」は、中国に暮らす僕にも共通のもので、ものすごく共感できます。そして、日中友好を考えるたくさんの同志がいる事を再確認できたのが、何よりの収穫でした。
式中、大使館の書記官の方の祝辞があったのですが、「政治の冷え込みが、日本語を勉強する皆さん学生に、悪い影響を与える事があってはならない」という趣旨の事をおっしゃっていました。今日の式で一番心に残っている一言です。大使館の方からこの言葉が聞けて、本当に嬉しかったです。

ちなみにこのコンクールについては、来週月曜日(12日)の夕方、TBS系でも放送されるようです。僕は見ることができなくてとても残念ですが、日本にいる皆様、ぜひ見てみてください。僕とうちの妻も映るかも!(ってそんなの見たくないか…)。

また、段躍中様に関するページは、以下の通りです。在日華僑に関する情報が満載で、「日報」の名の通り毎日膨大な量の情報を更新している
段躍中日報
は、僕もほぼ毎日チェックしてます。また、
中国研究書店
は、僕も今日はじめて知りましたが、面白そうです。
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# by t-kume | 2005-12-11 00:07 | 日記・随筆

中国人の日本留学②ニセモノの作り方

今日二つ目のエントリー。暇と忙しいの落差が激しい最近の生活…。

恒例(?)の日本留学シリーズ第二弾は、ニセモノ書類の作り方講座です。日本人はもちろんの事、中国でもここまで裏側を知ってる人はそうはいないでしょう。えっへん。
そして、入管局の役人の皆様、この前は罵りまくって誠に申し訳ありませんでした。以下に重要な情報をご提供いたしますので、今後審査の際のご参考にしやがれなさってくださいませ。…って僕のブログなんか見てるわけないか。

1.日本語能力証明
日本留学には、150時間以上の日本語学習時間が求められます。そしてその証明のために、中国の日本語学校で在籍証明を書いてもらうのが一般的。そして、この証明がホンモノかどうか、ビザ発行の際に領事館で学生を抜き打ち試験することもある。これで証明がニセモノだと認められた場合、その学校はブラックリストに載ってしまい、面倒な事になる。
…が、これほどニセモノが作りやすい書類はない。電話番号を一つ申請して(114(=日本で言う104)にも電話番号を登録しておくのがコツ)、印鑑を作り、ペーパー学校を立ち上げるだけでよい。
僕が働いていた会社について言えば、本当に経営している学校以外に、3つのペーパー学校を持っていた。日本語がちょっとヤバい学生に証明を発行する場合、ペーパー校の学生という事にして発行する。こうしておけば、万一抜き打ち試験で引っかかっても、経営校本体は傷つけられずに済む。
これに比べて、日本でも受験成績を調べる事ができる「日本語能力試験」の合格証書を能力証明として提出した場合、日本語能力が原因でハネられる事はなくなる。でも、この試験、毎年のように希望者がたくさんで、申し込みに溢れる人が出ています。改善を切に希望してます。


2.経費支弁能力
奨学金受給生でない限り、留学に際して経費支弁能力があるかどうかが調べられます。具体的に「○万元以上の資産」という決まりはないのだが、僕の働いていた某省出身学生では、貯蓄25万元かつ年収7~8万元がボーダーラインになっているようでした。そしてこれを証明するために、両親の勤務先の収入証明や、預金通帳などを提出しなければならない。
…が、これが出せる学生は本当に少数。出せない理由は二つあります。
一つ目は単純にお金がないこと。某省は超弩級の金持ちも多いところですが、そんな家の跡取りは大抵日本留学なんか行きたがらん(泣)。というわけで、収入証明・預金通帳の両方を偽造する必要が出てきます。
二つ目は両親が公にできない収入でもうけている場合。学生に副県長(日本で言う副町長か)の息子とか、市の土地局長の娘とかいうのがいました。この場合、法律で定められている給料は月に数千元で、微々たるものです。ただ、公金を横領できたり賄賂で私腹を肥やしたりできるので、実際の年収は百万元は下らない。ただ、これの証明を書いたら明日の命がしれません(中国は公金横領罪でも死刑が出るので…)。ということで、収入証明を偽造する必要があります。この場合、預金通帳は使えます。

2-1.収入証明
では、作り方を説明します。親がそれなりに大きな会社で働いている場合、その会社の証明に手を加えるだけで出来上がりです。具体的には収入を水増ししてもらう事。
次に個人経営の商店や、上記の危ない仕事をやってらっしゃる方の場合、会社から偽造する必要があります。基本的には上記の日本語能力証明の作り方と一緒です。多様なお客様のニーズにお応えするために、わが社では20あまりのペーパー会社を準備しておりました。会社の印鑑、社長や出納長の印鑑、会社のロゴ入り特注便箋を準備し、証明作成の際には一社ごとに書類の形式や字体を変え、プリントアウトに使用するプリンターまで変える手の込みよう。仕事の緻密さに定評のある日本人も、これには脱帽でしょう。

入管もこのアホらしさに気付いたのか、2003年の後期からは「源泉徴収書」を要求するようになりました。つまり、どれだけ税を納めているかの書類を税務局から出してもらおうという試みです。が、これを考えた役人は、よっぽど中国情勢に暗かったんでしょう。中国では(少なくとも某省では)、馬鹿正直に社員の給料を申告して納税している会社なんかありません。当然税務局は国民の収入なんか把握していませんし、証明も出しようがありません。これには困りました。この当時中国北部の某仲介企業が、日本の日本語学校の校長先生に語ったという話がこの困惑をよく伝えています。
「校長先生、『源泉徴収書を出せ』とおっしゃるんですか?出します。可能です。でもそれがどれだけ大変な事かご存知ですか?私は税務局の役人を買収するために接待を繰り返さんといかんし、多額の賄賂も必要になるでしょう。やれとおっしゃるならやりますが、これで本当の金持ちを調べるのは無理ですよ。」
結局、日本語学校が入管に現実的な政策でないと訴えたのだろう。源泉徴収書は取り止めになり、各会社が発行する「納税証明書」でいいことになった。この後、上記の収入証明書と同じ方法で、納税証明書を添付して申請する事になった。無意味…。

2-2.預金通帳
さて、両親の収入が規定に満たない場合、預金通帳を偽造する必要があります。全部偽造はさすがにつらいので、日常使っている普通預金通帳をそのまま提出して、これとは別に定期預金・外貨預金・株などの資産を偽造するのが一般的です。
これの楽なところは、原本を提出しなくていいところ。コピーでいいのです。金持ちの学生の通帳を余分にコピーしておいて、その名義人の部分をカッターで切り取ります。そして、金のない学生の両親の名前をワープロで打ってきて、そこに貼り付けます。流石にちょっと貼り付けた痕跡が目立ちますが、「コピー→修正液で痕跡消し」を繰り返せば、顕微鏡で見ない限りわからなくなります。
日本は地方ごとの入管局がビザ発給の可否を判断しています。北から順に、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡です。さすがに同じ入管に名義を変えた通帳を出すのはまずいので、僕の会社では入管を変えて出してました。例えば、ホンモノの学生が東京なら、名義を変えた学生は大阪に申請するといった具合に。
日本への申請は白黒コピーでもいいのでこれでOKですが、他の国への留学生は、カラーコピーが必要で、スキャナで預金通帳の画像を取り込み、微修正を繰り返すという面倒な事をやってました。どちらにしても、抜け道はあるようです。

さすがに全部それでは見破られる恐れが高いので、違うやり方のニセモノも準備します。作り方は以下の通り。まず、サラ金のようなところから、半年後に返す事にして20万元ほど借りてきます。そして、この金を銀行に定期預金する。この証明を提出するわけです。そして子供が無事に留学したら、この定期預金を解約し、サラ金に金を返せばOKです。突然多額の金が現れた理由としては「留学に備えて資産を売っぱらった」とか「友人とやっていた事業から手を引いた」とか、何とでも説明がつく。デメリットとしては、サラ金の利子は自己負担になることですが。

さて、ホンモノ・ニセモノに関わらず、収入関係が原因でハネられる学生が一番多いのですが、可哀想なのはホンモノなのに「疑義あり」とされてしまう学生。農村部では手書きの預金通帳がまだ存在して、そういうのは疑われる可能性が高いのですが、逆に言うとわれわれ仲介企業も、わざわざ疑われやすいニセモノを作ったりはしません。入管の人、ここ重要ですぜ。


3.学歴
卒業証書・成績証明書・卒業証明書などの提出が必要です。
留学したいという学生はほんとに玉石混合で、暴力沙汰で高校を退学になったとか、理由は分からんが長期学校に行ってなかったので卒業証書がないとか、いろんなのがいる。こういう場合は、偽造の必要が出てくる。
これについては、ホンモノが作れます。学校の校長先生と仲良くなって、ホンモノを作ってもらうだけでOKです。この他に、教育委員会の印とか押す欄もあるのですが、これもホンモノを押せばいいだけのこと。
あと農村部では、懐かしの飛び級制度がまだ生きています。また、人口の少ない村では小学校入学年齢が2年に1回とかになったりもします。日本語学校は入学条件に「12年の教育を受けている者」というのがあるので、「小学校入学時年齢証明」なるものを発行しなければならない学生が出てくる。飛び級をしちゃったために小中高合わせて10年しか在籍しなかったりした場合、「4歳で小学校に入学しました」とかいうありえない証明を書いて、一緒に提出する必要がある。入管もこの辺は分かってるのか、これが理由でハネられることはほとんどないですが。


4.公証書
上記の全ての書類に中国の役場の作る公証書というのが要るのだが、ここまで読んでくれた皆様なら、もう作り方は分かりますね?そうです。買収です。
僕の会社は折につけ公証所の役人を接待してました。そのおかげで、どんなに難しい公証内容でも、土日や深夜に頼んでも、2時間で書類を作ってくれます。「為人民服務(人民のために!)」の精神は立派です。


さて、次回はこんなの目じゃない、とっておきの裏技をご紹介します。乞うご期待。
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# by t-kume | 2005-12-03 23:25 | 中国人の日本留学

お受験

小5の時の話だから、もう15年くらい前のことです。僕はひょんなことから全国的に有名になった大阪教育大学附属池田中学(池附)を受験するために、N塾に通ってました。

受験まで一年とせまった(せまってない?)ある冬の日、塾の先生が全員いなくなるという話が全校に伝わりました。ライバルのW塾が大量の引き抜き攻勢をかけ、先生が集団移動することになったというのです。
僕を始めクラスメートは、何がなにやらさっぱりだったのですが、お受験に熱心なママさんたちは慌てたみたいで、子供をそのライバル塾へ転校させるママが続出しました。
引き抜きに伴って新しくやってきたT新塾長はさっそく保護者会を開き、生徒の流出に歯止めをかけようと説明をしたのですが、結局ほとんどの学生が出て行ってしまいました。
僕は受験にあんまり熱心でなかったのと、先生に捨てられたような嫌な気分を味わったのとで、自分から親に「転校はしない」と言い、その後もN塾に通い続けました。

塾での成績は下から数えた方が早かった僕なのですが、僕より上の学生が全部出て行ってしまったことで、塾内で池附を受験する唯一の生徒になってしまったのでした。
T塾長をはじめ先生陣も、僕を合格させる事でW塾の鼻を明かしてやろうと考えたのでしょう。その日から手取り足取りの猛特訓が始まったのでした。授業の延長、マンツーマンでの補習、分かるまで丁寧に何度でも教えてくれた。

さて、結果だが、神様は「喧嘩両成敗」の裁定を下したようで…(泣)
今考えると塾の看板として使われてた面もあるのだが、本当に嬉しかったし、N塾に在籍した中3までの5年間は、僕にとって勉強が一番楽しかった時期でもあった。

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翻って、こちらは中国。明日は年に一度の「日本語能力試験」が行なわれます。これに通れば、就職の道も大きく開ける大事な大事な試験です。
今年の9月から、僕は北京の某日本語学校で、1級と2級の試験対策班を任されているのだが、その学生も明日は奮って試験に参加します。
僕は資格を持った日本語教師ではないので、指導にもどかしいところがあったかもしれないが、T塾長の事を思い出しつつ、自分がされて嬉しかった事をできる限りやったつもりです。
学生の一人ひとりが日頃の成果を発揮して、無事にこの難関を乗り越えてくれる事を、心から祈っています。がんばれー。
そして、試験前にこのメッセージが届いちゃった学生がいたとしたら…。ネットなんかしてないで、早く寝なさい。明日は早いんだから。
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# by t-kume | 2005-12-03 21:00 | 日記・随筆

麻生晴一郎さんに会う

ブログを通して知り合った、作家の(という肩書きでいいのかどうか…)麻生晴一郎さんにお会いした。麻生さんのブログで北京に来ているという事を知ったので、ダメもとで「うちに来ませんか?」と、お誘いを入れてみたのだ。お忙しいところ、わざわざお時間を割いていただき、木曜日の夜、我が家でお話を聞かせていただいた。三時間ほどの短い時間だったが、僕にとっては1学期分の授業を受けているような、内容の濃いものだった。

来ていただくことになった後、実はちょっと後悔していた。僕は麻生さんの本を一冊も読んだ事がなく、先輩に話を伺うインタビュアーとしては失礼だと思ったからだ。ただ、そんな僕の心配をよそに、麻生さんは僕のブログに予め目を通していてくださり、話したい事を準備していてくださったようだ。

学んだ事はとても多く、まだ完全に消化し切れていない部分もあるので、ここに全部を書くことはできないのだが、印象に残ったところをいくつか書いておく。

「『日中の』友好が必要だとして」そのために何が必要かとなった時に、「共通の話題」について交流するというお話があった。麻生さんは具体的に「民主」と「芸術」というキーワードを挙げられた。これは麻生さんの問題意識がそうさせたのであるから、もっといろいろなキーワードがあってもいいだろう。僕は麻生さんのように言葉にできないでいたが、日本語を教えているうちに「テレビゲーム」や「漫画」が、何かを突破するきっかけになるのではないかと漠然と考えていた。
そして、このようなキーワードを通してお互いを知るようになった人たちは、「反日」「嫌中」となった時に、「日本」「中国」というくくり方に違和感を覚えるのではないかということだった。そしてこの違和感が抑止力になるということ…。

反日デモの時、麻生さんはデモをその眼で見たそうだ。そしてデモを、「横浜スタジアムの横浜阪神戦」という言い方で表現していた。あまりにも適切なたとえで、他の言葉に置き換えると原義が壊れてしまいそうなので、そのまま引用しておきます。
今回のデモの際、日本では「政府がデモを野放しにしている」との批判が出た。だが、抑制を中国「政府」に求める事自体、すでにおかしいのではないか。民間に抑止勢力が育っていない事、その方がよっぽど問題ありなのではないか…。これは目からうろこだった。「民主」の問題とからめても味わいがある。

そして、麻生さんのブログにもあった、「インサイダーとしてしか活動し得ない政治評論」のお話。…が、これは書きません。「書きません」と書いておくことで、それが何かのメッセージになってしまうかも知れず、またそれを狙っているわけでもありますが…。

この他にも、たくさん興味深いお話があったのだが、特に「民主」の問題については、私の知識不足で吸収できない部分が多く、残念だった。中江兆民など、今後勉強して行きたい。

麻生さん、今回は拙宅にわざわざお越しいただき、本当にありがとうございました。そして、木曜日から予定が変わっていなければ、明日には日本へ帰国の予定ですね。どうぞお気をつけて。

それから、麻生さんに興味を持たれた方、ぜひ↓のリンクから麻生さんのページへどうぞ。
麻生晴一郎のページ

P.S.次の日起きてみてびっくり、500mlの“竹葉青”(山西省の汾酒に竹の葉エキスなどを加えて作られた酒)が空っぽになっていた。んー、これだよ。
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# by t-kume | 2005-11-26 16:06 | 日記・随筆

ご無沙汰ですみません。

記事を貼り付けるばかりで、手抜きですみません。私事ですが、最近マイホームを購入したもんで、その手続きでなかなか時間が取れなくて…。来週頭には「留学連載」の続き書きますよ。
日本の孤立戦略のゆくえ
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# by t-kume | 2005-11-24 19:40

胡耀邦、名誉回復(?)

密かに期待していた11月18日が終わってしまいました。胡耀邦の生誕90周年式典が行なわれたんです。…が、何ほどのこともなく過ぎてしまいました。今日、普段はめったに買わない『法制晩報』という夕刊を買いました。どこどこで交通事故が起こったの、だれそれが捕まったのと、たわいもない(と僕には思われる)ニュースを中心に取り上げてる夕刊なんだけど、恐らく一番売れてる夕刊だと思われるので。北京の普通の人が、この事をどれくらい知れるのかなあと思って買ってみました。

結果は、一ページ目に
「中共中央は18日午前、北京で胡耀邦同志の生誕90周年を祝う座談会を開いた。温家宝が出席、曾慶紅が講話、呉官正が司会をした」
との文があっただけ。中国語で50文字弱。他には何も書かれていませんでした。

インターネットの記事はもう少し内容が豊か。中国語の分かる方はどうぞ↓
中共中央举行座谈会纪念胡耀邦诞辰90周年_新闻中心_新浪网
面白いのが掲示板。胡耀邦の熱狂ファンばかりです↓ 名指しで「T事件」に言及してるものはないけど(そんな事したら削除でしょう…)、どうやら名誉回復だと受け取られているようです。
留言版_新浪网

日本語の分かる中国の方は、日本の報道にも触れてみてください↓
読売新聞 - 胡耀邦氏生誕90年式典、名誉回復には至らず
毎日新聞 - 中国 胡耀邦・元共産党総書記の生誕90周年記念式典
産経新聞 - 胡耀邦氏「生誕90周年」あす開催 規模縮小 事実上名誉回復へ
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# by t-kume | 2005-11-19 00:24