筆者は北京で旅行を学ぶ大学院生。妻は中国人。明るい話題の少ない日中関係ですが、将来に向けて建設的な提案を行なっていけたらと思ってます。末永くよろしくです。
by t-kume
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靖国③ 圧力団体

靖国特集は、とりあえず今回で一旦休止にしようと思ってます。あくまで予定は未定ですが…。今回の記事は、主に日本人向けかな。

靖国参拝に関する世論調査を見ていると、賛成と反対が40%強で拮抗。日本人お得意の「どちらともいえない」「関心がない」は、10%くらい。でもよく見てみると、賛成の理由が「他国の内政干渉に屈してはならない」、反対の理由が「隣国との関係が心配」。何かズレてる気がする。若い人が靖国問題に、“本当の意味で”興味があるわけなんかない。興味があるのはお年寄りに限られて当然だと思う。
僕は首相の靖国参拝を、アメリカが銃を規制できないのと同次元の問題だと考えている。
大統領が銃を規制しようとしまいと、一般庶民にとっては日常生活にほとんど意味のない問題。規制したらテロが減るわけでもないし、規制しなかったからといって自分が銃殺される可能性はほぼゼロだ。大統領が銃規制を言わないのは、「銃を売りたい」勢力が共和党の後ろにいるからに過ぎない。
首相が靖国に行こうと行くまいと、一般庶民にとっては日常生活にほとんど意味のない問題。行ったら税金負担が減るわけでも、行かなかったら子供の教育が充実するわけでもない。首相が靖国に行くのは、「行ってほしい」勢力が自民党の後ろにいるからに過ぎない。結局どっちも選挙のため、圧力団体にいい顔してるに過ぎないのだ。

小泉首相は就任前、靖国に対してそれほどの強い思い入れはなかった。2001年の自民総裁戦時に「靖国参拝」を掲げたのは、遺族会の票が同会会長歴任者の橋本へ流れるのを防ぎたかったからに過ぎない。そこでみんなに考えてほしい。
「2001年春、日本中に小泉ブームを巻き起こした自民党総裁選の時点で、あなたは靖国問題に興味がありましたか?」。ごく少数しか関心のなかったはずの問題が、いつの間にか外交問題にすり替わってる。ホントに馬鹿らしい。

19日共同通信の記事をヤフーから。
> (小泉首相は)中韓両国との外交日程が相次いで取りやめになっていることについては「(対話は)十分進められる。短期的視点でなく、10年、20年、30年と長期的に考えた方がいい」と指摘した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051019-00000229-kyodo-pol

20年もすれば、遺族会は生物学的原因によって、自民党の重要な票田ではなくなるでしょう。靖国問題解決は、どうやらそれまで待ってくれという事のようです(笑)。
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by t-kume | 2005-10-27 20:21 | 靖国問題

靖国② 靖国の二つの顔

僕の曽祖父は軍人である。第二次大戦の時は、マレー半島でイギリスを下し、その後は半ば退官だったらしいが、敗色濃厚な1944年に現在の中国黒龍江省へ飛ばされ、終戦直前に参戦したソ連と戦って捕まり、戦後シベリア抑留中に病死している(一説には毒殺されている)。名前は伏せるが、高名な参謀だったらしい。そんな訳で、曽祖父の魂は靖国神社にある。私も靖国神社には、祖母と一緒に何度かお参りしたことがある(中国の友達も見てる中でこれを書くのは勇気がいるのだが、書いておこう)。だから靖国神社については、普通の日本人よりはよく知っているつもりだ。今日は、靖国神社の二つの顔について書こうと思う。
靖国神社には二つの顔がある。一つは哀悼の場としての靖国だ。僕の主観的観察だが、靖国参拝者の平均年齢は、70歳を超えているのではなかろうか。彼らにとって靖国は、家族や戦友が祭られてある所なのだ。祖母は参謀の娘なので、靖国に行くと曽祖父にお世話になったという多くの参拝者から声をかけられる(こんなところにも昔のヒエラルキーの名残がある…)。祖母たちの会話に私も加わるのだが、彼らの会話から“帝国主義の復活”とか“歴史の正当化”とか、キナ臭いにおいを感じた事はない。彼ら遺族の多くは、「戦死者のおかげで自分が生還できた」という、感謝と懺悔が入り混じったような感情を持っていて、靖国に参って供養することが、残された自分の使命だと思っているようだ。東条が祀られた事を快く思っていない遺族にも、お会いしたことがある。僕が中国語を勉強して、中国に留学していることを話しても、眉をひそめる人にはお会いしたことがない(気を遣ってるのかもしれないが…)。これは、中国人に理解しておいてほしい靖国神社の一面だ。政治的問題は別にして、僕は遺族の参拝を責める気にはならない。
そして、もう一つの顔。靖国に行ったことない人は、例大祭の時期などに靖国に行ってみるといい。“皇国○○会”とか“東亜△△会”とか書いてある囚人護送車みたいな車で乗り付けた、不気味な連中をいくらでも見かける。彼らはゼロ戦の展示してある“遊就館”の前の空き地で「皇国のために散華した英霊に黙祷!」みたいな怪しげな儀式をやってる。靖国が過去に戦意高揚のために使われていたのは紛れもない事実で、今もって一部の人にとっては、靖国は民族精神高揚の象徴であり続けてるみたいです。中国の報道が一面的であるのは確かだけど、靖国に右翼的国粋主義的な面があるのは否定しがたいと、僕は思っている。これは、日本人に理解しておいてほしい靖国神社のもう一面です。
先の書き込みでも書いたけど、日本人中国人を問わず、靖国をよく分かっていないと思う。イメージで「参拝賛成」「参拝反対」を言わず、しっかり考えてほしい。それができないなら、口出しをするべきでないと思う。僕は“首相の”参拝には反対です。
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by t-kume | 2005-10-24 23:31 | 靖国問題

靖国① 図式

靖国の影響は今のところない北京です。週末に大使館前あたりで何か起こるかもしれないけど、今回は4月ほどの事にならずにすみそう。図らずも(図ったのか?)中国では、17日に「神舟6号の帰還」と「巴金の死去」という二大事件が重なったおかげで、庶民に“ディープインパクト”を与えることなくすんだようです(ちなみに私、競馬ファンでもあります)。

靖国について考えるたび、いつも不思議に思うことがあります。日本で言われている「参拝は日本人として当然」「中韓の内政干渉」という図式は、それから中国で言われている「鬼参り」「軍国主義の復活」という図式は、いつからそういう事になったんでしょうか。
小泉首相が始めて靖国を参拝した2001年8月13日、僕は上海のF大学に短期留学中で、タクシー乗車中にラジオのニュースでこの事を知りました。その時僕は「日本人として当然の責務を果たした首相は立派だ」とも「A級戦犯を詣でるなんてトンデモナイ」とも思わなかった。また「中韓との関係」を心配することもなかった。周りの日本人・中国人学生と、この事を話題にした覚えもない。当時の僕の認識不足によるものかもしれないけど、ぶっちゃけ靖国に興味なんかなかった。遺族会とか一部の人々を除けば、みんなそうだったんじゃない?それが「参拝しない=中韓の圧力に屈した」とか「日本では悪人の魂も死んだら許される(ホントに一般人はみんなそう思ってるのか?)」とか、意味の分からない図式がいつの間にやらできてる。
中国にしても同じことで、今年の夏に北京に来た時、部屋を借りた不動産屋の若者に「靖国神社ってどんなところですか?」って聞かれた。ニュースでよく耳にするけど、どんなところかよく知らないとの事だった。また、『環球時報』『青年参考』っていう二つの新聞で「あなたの知らない靖国神社」っていう特集を組んでるのを見た(この新聞の名誉のために断っておくが、記事は淡々と歴史と事実を紹介するものでした)。これは多くの市民にとって靖国は「あなたの知らない…」レベルであることを意味してるんじゃないだろうか。みんな「日本の首相がケシカラン事をしているらしい」というイメージに振り回されて憤っているだけで、何がどのようにケシカランのか、よく分かってないんじゃないだろうか。
繰り返しになるけど、今の図式はいつできたんでしょう。一般人が見てる靖国神社は、“小泉劇場”“共産党劇場”に過ぎないんじゃないでしょうか。靖国が大問題になっている中、不謹慎かもしれませんが、素朴な疑問です。
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by t-kume | 2005-10-20 21:31 | 靖国問題

田中宇の国際ニュース解説

面白い記事があったので、参考までに。
日本:脱亜入欧から親米入亜へ
http://tanakanews.com/f1004japan.htm

この人のページ、僕から見たら時々トンデモだと思うようなことが書いてあるんですが、それを差し引いても面白いです。トップページは↓です。
日本語:http://tanakanews.com/
中国語:http://tanakanews.com/cn/

よかったらどうぞ。
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by t-kume | 2005-10-19 10:06

靖国参拝直後の雅虎(yahoo)中国より

中国のヤフーには、ニュース評論と称する、誰でも書き込める(らしい)掲示板があります。対日関係のニュースでは、ウザいネット右翼が跋扈してて見るに耐えないことが多いんだけど、今日は面白いのを見つけました。以下に全文翻訳します。

日本:
私は日本から来ました。日本人です。小泉内閣の支持率は40%を超えていますが、この事は40%の人が小泉内閣の対中政策を支持している事を意味しません。彼らは小泉首相の改革エネルギーを指示しているのです。日本には、郵政民営化・年金等たくさんの国内問題があります。多くの人は、小泉首相が歴代の首相がやり遂げられなかったことをできると信じています。対中政策については、多くの人が憂慮もしくは反対しています。私は中国の人たちにもこのことを理解してほしいと思います。日本では直接選挙で首相を選ぶことができないのです(在日本直接由不得国民選択首相)。

中国:
私はこの日本人の気持ちがよく分かります。同時に小泉首相あるいは自民党に対して、日本を間違った方向へと導かないでほしいと思います。改革は日本経済をさらに発展させるでしょう。しかし、日本の発展を世界各国の協力と切り離して考える事はできません。アメリカ追随で他国との関係を軽視すれば、国際社会における日本・日本人に対するイメージは悪くなるばかりでしょう。現在、日本の多くの政治家・記者・有名人は中国に対して大きな先入観を持っています。彼らの言動はマスコミに広められて若者に大きな影響を与えています。この事は中日関係に悪影響を与える重要なファクターとなるでしょう。中国は発展途上国で、経済においても政治においても完全な民主国家であるとは言えません。だからと言って、このような国家の国民感情は好き放題に傷つけても良いと言えるでしょうか。靖国神社に参拝する事は、日本人にとってはどうやら当然の事であるようです。しかし我々は文化を異にします。あの戦争でアジアの多くの国の国民は被害を受けました。日本の首相は、自分のため或いは自分の政党のために、これらの事を軽視していいものでしょうか。日本が戦争への道を再び歩まない事を、心から望みます。あの戦争は、日本の国民にも大きな被害をもたらしたでしょうから。そして日本の若者が、あの戦争が日本の国民にもたらした被害を学んでくれる事を期待します。日本の若者はこの事を知らなさ過ぎるように思います。


日本人の投稿の最後の一文、翻訳できませんでした。原文もあわせて載せときましたので、どなたか更に正確に翻訳してくださると嬉しいです。
今週は「靖国特集」とかにしてみようかなと思ってます。タイムリーな話題だし(でも、胃が…)。
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by t-kume | 2005-10-17 21:29 | 靖国問題

報道

10月14日付の『法制晩報』に、こんな記事が載ってました。全文翻訳すると著作権とかに触れちゃったりするかもしれないので、要約をどうぞ。

日本の香川大学の某教授が、中国人学生の大学院入りを拒否した。またこの教授は授業中に、自身が中国で撮って来たという中国人の不道徳極まりない写真をやたらと紹介したり、授業中に「南京大虐殺捏造説」を吹聴したりもしていた。香川大学ではすでに調査委員会を設置し、事実であれば厳重処分とすることを約束した。

事の真偽は別にして、毎日のようにこういう報道に触れてる中国人に「日本を好きになれ」っていうほうが無理だよね。中国の事は“反日デモ”しか知らない日本人に「中国を好きになれ」って言っても無理なのと同じように…。中国でも日本でも、報道は基本的に“以偏概全”(偏った情報でもって全体を判断してしまうこと)。信用できないです。ただ、マスコミを非難するのは簡単だし、それはそれで正しいと思うけど、両国でこういう報道が溢れてしまう背景には、ふかーい“相互不信任”がある気がするなあ。知日派中国人・知中派日本人を増やしていくしか根本的な解決方法はないと思う。

初回なんで(自分の中の)概論っぽくてつまらないですが、今日はこんな感じで。次回からもっと具体的で面白いの書きます。

香川大…。一年ほど前にも「恋愛イロハ本で有名な某心理学教授が、患者の女性と一緒にお風呂に入った」とかいうB級ニュースがなかったっけ…。
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by t-kume | 2005-10-15 16:46

お勧めの本

某所にも書きましたが、コピーしてここにも。日中関係を考える人にお勧めの本です。

清水美和「中国はなぜ『反日』になったか」(文芸春秋、二〇〇三年)

東京新聞編集委員として、中国報道に長く関わった筆者が分析する日中関係論。
この手の本は右か左かに大きく偏ってることが多いけど、筆者の観点はとても公平かつ正確。「反日を煽る中国はケシカラン」と憤る人達に、「日中関係を考えたい」と思っている人達に、ぜひ読んでほしい一冊。同時に中国の人にも勧めたい。中国語翻訳版が出ないかしら…。

文中に引用されている胡耀邦の言葉は、熟考の価値あり。
「歴史において、狭隘な愛国主義しかわきまえず、その結果、誤国主義に変質してしまった者は少なくない。中日両国の青年は歴史の経験と教訓の中から知恵を汲み取り、自分自身を愛国主義の情熱と国際主義の精神に富んだ気高い現代人に鍛えていくよう、私は望む」
胡耀邦がもう少し長生きしていれば…。
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by t-kume | 2005-10-15 16:44

自己紹介

はじめまして。北京で留学生やってる“じうみー(久米)”と申します。
最初に僕の中国歴を紹介します。

2001年3月 上海に初上陸。3週間短期留学する。
2001年9月 R大学からの交換留学生として、中国S大学に留学。後に結婚する“アルマオ”と知り合う。
2003年1月 留学を終え、一時帰国。
2003年3月 SARS発生。内定をもらっていた中国の某旅行社から「日本人観光客がいなくなったから雇うことはできなくなった」と宣告される。
2003年9月 S省の某留学仲介企業に就職。中国人の日本留学事情に詳しくなる。日本の入管行政問題にも詳しくなる。独学で日本語教師ができるようになる。社会の裏側も含めて、いい勉強をさせてもらいました。
2004年2月 アルマオと結婚。
2005年1月 前述の某留学仲介企業を辞職。アルマオをつれて日本へ帰省。
2005年9月 中国政府奨学金留学生として、北京第二外国語学院旅行管理系で大学院生になる。

現在は、学校に通いながら日本語教師をして生計を立ててます。
今後もマイペースで更新していきたいと思いますので、お付き合いのほど、よろしくお願いします。
いろいろな方からのコメント・トラックバック、歓迎しています。
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by t-kume | 2005-10-01 19:14