筆者は北京で旅行を学ぶ大学院生。妻は中国人。明るい話題の少ない日中関係ですが、将来に向けて建設的な提案を行なっていけたらと思ってます。末永くよろしくです。
by t-kume
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靖国② 靖国の二つの顔

僕の曽祖父は軍人である。第二次大戦の時は、マレー半島でイギリスを下し、その後は半ば退官だったらしいが、敗色濃厚な1944年に現在の中国黒龍江省へ飛ばされ、終戦直前に参戦したソ連と戦って捕まり、戦後シベリア抑留中に病死している(一説には毒殺されている)。名前は伏せるが、高名な参謀だったらしい。そんな訳で、曽祖父の魂は靖国神社にある。私も靖国神社には、祖母と一緒に何度かお参りしたことがある(中国の友達も見てる中でこれを書くのは勇気がいるのだが、書いておこう)。だから靖国神社については、普通の日本人よりはよく知っているつもりだ。今日は、靖国神社の二つの顔について書こうと思う。
靖国神社には二つの顔がある。一つは哀悼の場としての靖国だ。僕の主観的観察だが、靖国参拝者の平均年齢は、70歳を超えているのではなかろうか。彼らにとって靖国は、家族や戦友が祭られてある所なのだ。祖母は参謀の娘なので、靖国に行くと曽祖父にお世話になったという多くの参拝者から声をかけられる(こんなところにも昔のヒエラルキーの名残がある…)。祖母たちの会話に私も加わるのだが、彼らの会話から“帝国主義の復活”とか“歴史の正当化”とか、キナ臭いにおいを感じた事はない。彼ら遺族の多くは、「戦死者のおかげで自分が生還できた」という、感謝と懺悔が入り混じったような感情を持っていて、靖国に参って供養することが、残された自分の使命だと思っているようだ。東条が祀られた事を快く思っていない遺族にも、お会いしたことがある。僕が中国語を勉強して、中国に留学していることを話しても、眉をひそめる人にはお会いしたことがない(気を遣ってるのかもしれないが…)。これは、中国人に理解しておいてほしい靖国神社の一面だ。政治的問題は別にして、僕は遺族の参拝を責める気にはならない。
そして、もう一つの顔。靖国に行ったことない人は、例大祭の時期などに靖国に行ってみるといい。“皇国○○会”とか“東亜△△会”とか書いてある囚人護送車みたいな車で乗り付けた、不気味な連中をいくらでも見かける。彼らはゼロ戦の展示してある“遊就館”の前の空き地で「皇国のために散華した英霊に黙祷!」みたいな怪しげな儀式をやってる。靖国が過去に戦意高揚のために使われていたのは紛れもない事実で、今もって一部の人にとっては、靖国は民族精神高揚の象徴であり続けてるみたいです。中国の報道が一面的であるのは確かだけど、靖国に右翼的国粋主義的な面があるのは否定しがたいと、僕は思っている。これは、日本人に理解しておいてほしい靖国神社のもう一面です。
先の書き込みでも書いたけど、日本人中国人を問わず、靖国をよく分かっていないと思う。イメージで「参拝賛成」「参拝反対」を言わず、しっかり考えてほしい。それができないなら、口出しをするべきでないと思う。僕は“首相の”参拝には反対です。
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by t-kume | 2005-10-24 23:31 | 靖国問題
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